今年の振り返り(3)

昨日に引き続き、今年を振り返っていきます。昨日の記事はこちら

私がBNIに参加したのは3月11日。日本が特別な歴史を刻んだ日でした。大震災が発生した日です。大地震が発生した時、私は銀座にいました。会社との連絡は取れず、交通機関が麻痺して、すぐに会社に戻ることもできない状況に呆然としました。スタッフが全員無事とわかってほっとしたのは、震災後2時間ほど経ってからです。


震災後1週間はビジネスが停滞し、受注確度の高かった案件が軒並み見送りになりました。ホームページは広告です。震災の影響で広告費を削る企業が増えたことは容易に予想ができます。さらには、私の会社は3月決算ですので、3月に上がるはずだった売上がたたなくなり、決算の数字も厳しいものとなりました。


4月に新しい期が始まりました。第七期目です。気分一新ということで、待望の営業職が入社しました!!


営業職がなぜ必要なのか。その理由は簡単です。私が「会社の舵をしっかりとりたい」からです。未来を見渡して進むべき道を探し、舵をきることは経営者にとって大切なことです。私は、経営、経理、資金繰り、営業、コンサルティング、制作、開発を全てやっています。この状態では「経営」にかけられる時間は少ないのです。「営業」をはじめ、「制作」「開発」の比率をできるだけ下げることにより自分にしかできないことに注力したいと考えました。自分勝手ではありますが、私以外ができることは、皆でやって欲しいのです。


この取組は昨年から始めたものですが、先日の記事に書いたように、年始からまとまった退職者が出てしまい、その中には営業職もいたので、営業においては振り出しに戻る状況になっていました。人を雇うって難しい・・・、これは中小零細企業の経営者がよく口にする言葉ですが、それでもなおチャレンジをしたい!それが私っぽいところです。何もせずに停滞しているよりも、失敗してもいいから新しいことを始めたいじゃないですか。


営業職って華やかそうに見えますが、意外と地味なのです。コツコツやっていかなければいけませんからね。でも、とても良いことがあるのです。色々な人と会うことができるのです。色々な人と会うと、知識が広がり、価値観が変わっていきます。


テレビをみて時事ネタを知ったり、本を読んで知識を仕入れたり、「安全」な情報を収集することはできます。「安全地帯」で毎日を過ごしている人は、その情報が正しいものなのかを判断するスキルがなかなか磨かれません。


スキルを磨くにはどうしたらよいのか?!それは「危険地帯」に飛び込んでいくことです。専門家と直接話をして真実を知ったり、騙されてしまうような「危険」な情報に触れることで、その情報が本当に正しいのかを改めて考えるようになります。情報の判断力もそうですが、正しい情報をたくさん集めることにより単なる「知識」が、生き抜くための「知恵」となっていきます。「知識を集めるんじゃない。知恵を身につけるんだ。」そのためには、安全地帯を飛び出して危険地帯に行かなければいけません。


私は営業スタッフが入社した当日にBNIの定例ミーティングに彼を連れていきました。ポジティブなメンバーのアグレッシブな刺激を体感して欲しいと考えたからです。今考えてみれば、そこは大変な「危険地帯」だったことでしょう(笑)


定例ミーティングでは60秒間スピーチする時間が与えられます。そこで彼は「今日入社して、ここに連れてこられて・・・、会社のことも全然わかりませんが、(こんなテンションの高い場所にいきなり連れてこられて)かわいそうだなぁと思った方がいらっしゃいましたら、お仕事くださーい。」とスピーチして大爆笑を誘いました。あまりにも印象的だったので、今でもこのスピーチはよく覚えています。


彼は、今までバンドとバイトの日々を繰り返していました。(社交的なのでそれでも多くの人と交流をしていたと思いますが)限られたメンバーと交流し、限られた情報の中で暮らしていました。入社後、様々な人を引きあわせました。持ち前の人懐っこさで相手の心をすぐに開かせて、いろいろ教えてもらえる素質が彼にあったので、インプット(情報量)は加速度的に増えていきました。頭がパンパンになりそうなくらいに情報がインプットされ、消化不良になりながらも価値観が変わっていく様子がとても印象的でした。


「勉強してる?!」とスタッフに言っていた日々が懐かしいです。
今なら「いろんな人と会ってる?!」と訊くと思います。