一人オーナー会社(特殊支配同族会社)

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民主党マニフェストを読んでいたら、中小企業に関係する内容があったのでピックアップ。

「一人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する

この内容だけでは意味がわからない方がほとんどだと思います。法人税法上では「同族会社」は以下の通り定義されています。かなり端折って解釈すると、身内で50%以上会社に出資していると同族会社ということになります。

第二条 二
会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。

特殊支配同族会社はさらに出資比率等が限られてきて、90%以上となります。役員関係者の人数にもさらに条件が加わっています。

第三十五条(抜粋)
同族会社の業務主宰役員(法人の業務を主宰している役員をいい、個人に限る。以下この項において同じ。)及び当該業務主宰役員と特殊の関係のある者として政令で定める者(以下この項において「業務主宰役員関連者」という。)がその同族会社の発行済株式又は出資(その同族会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の九十以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合における当該同族会社(当該業務主宰役員及び常務に従事する業務主宰役員関連者の総数が常務に従事する役員の総数の半数を超えるものに限る。)

この「特殊支配同族会社」に該当すると、業務主宰役員に対して支給する給与額のうち一定の金額が税務上経費として認められなくなるのです。(その事業年度の基準所得金額が1,600万円以下である事業年度その他一定の事業年度については適用されません。)


「税務上経費として認められない」=「損金にできない」と課税の対象となりますので、その4割程度を税金として持っていかれることになります。これは勿体ないということですね。


会社法が改正されて、資本金が少なくても起業できるようになりましたので、この法律に該当する中小企業数がかなり増えていると思います。1,600万円という制限はかなり高いと思いますが、例えば夫婦で役員をやってそれぞれ800万円以上の報酬を与えたら1,600万円を超えてしまいます。法人から個人にお金が流れれば、適用される税金や税率、税を受け取る機関の受け取る金額の比率が変わったりしますので、法人成りを防ぐために取り込まれた措置だと考えられます。


個人的にはこの措置を無くしても大したインパクトはないんじゃないかと思います。困っている中小企業にはそんなお金がないはずですから、お金持ちの税金の裏口(バックドア)を増やしてしまうだけのような印象があります。